「マタイの福音書」連続講解説教

あなたのタラントは誰?

マタイの福音書第25章14節〜29節
岩本遠億牧師
2018年3月18日

25:14天の御国は、しもべたちを呼んで、自分の財産を預け、旅に出て行く人のようです。

25:15彼は、おのおのその能力に応じて、ひとりには五タラント、ひとりには二タラント、もうひとりには一タラントを渡し、それから旅に出かけた。 25:16五タラント預かった者は、すぐに行って、それで商売をして、さらに五タラントもうけた。 25:17同様に、二タラント預かった者も、さらに二タラントもうけた。 25:18ところが、一タラント預かった者は、出て行くと、地を掘って、その主人の金を隠した。

25:19さて、よほどたってから、しもべたちの主人が帰って来て、彼らと清算をした。 25:20すると、五タラント預かった者が来て、もう五タラント差し出して言った。『ご主人さま。私に五タラント預けてくださいましたが、ご覧ください。私はさらに五タラントもうけました。』 25:21その主人は彼に言った。『よくやった。良い忠実なしもべだ。あなたは、わずかな物に忠実だったから、私はあなたにたくさんの物を任せよう。主人の喜びをともに喜んでくれ。』 25:22二タラントの者も来て言った。『ご主人さま。私は二タラント預かりましたが、ご覧ください。さらに二タラントもうけました。』 25:23その主人は彼に言った。『よくやった。良い忠実なしもべだ。あなたは、わずかな物に忠実だったから、私はあなたにたくさんの物を任せよう。主人の喜びをともに喜んでくれ。』

25:24ところが、一タラント預かっていた者も来て、言った。『ご主人さま。あなたは、蒔かない所から刈り取り、散らさない所から集めるひどい方だとわかっていました。 25:25私はこわくなり、出て行って、あなたの一タラントを地の中に隠しておきました。さあどうぞ、これがあなたの物です。』 25:26ところが、主人は彼に答えて言った。『悪いなまけ者のしもべだ。私が蒔かない所から刈り取り、散らさない所から集めることを知っていたというのか。 25:27だったら、おまえはその私の金を、銀行に預けておくべきだった。そうすれば私は帰って来たときに、利息がついて返してもらえたのだ。 25:28だから、そのタラントを彼から取り上げて、それを十タラント持っている者にやりなさい。』

25:29だれでも持っている者は、与えられて豊かになり、持たない者は、持っているものまでも取り上げられるのです。 25:30役に立たぬしもべは、外の暗やみに追い出しなさい。そこで泣いて歯ぎしりするのです。

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タレントの語源となったタラントという言葉を、キリスト教会では才能、能力と解釈している場合が多いようですが、私はその解釈は完全な誤りだと思います。

イエス・キリストが十字架にかけられる前の最後の最重要の説教の中で語られたのは、人を大切にすることです。自分自身のように隣人を愛することです。

「タラント」とは、才能や能力ではなく、傷つき傷んだ「あなたの隣人」を意味するのです。このことは、この前後のテキスト構造から明らかです。

この観点からこの聖書の箇所を解釈すると以下のようになります。皆さんは、どのように思われるでしょうか。

タラントとは、神様が大切にしておられる神さまの宝もの、人です。あなたです。そして、あなたの隣人です。

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天の御国は、しもべたちを呼んで、自分が最も大切にしている人々を預け、旅に出て行く人のようです。

彼は、おのおのその能力に応じて、ひとりには五人、ひとりには二人、もうひとりには一人を託し、それから旅に出かけた。

五人を託された者は、その人たちを大切し、生かして、そのひとたちも隣人を生かして、五人の人たちと共に生きるようになった。 同様に、二人を託された者も、さらに二人の人と共に生きるようになった。

ところが、一人を託された者は、その人を無視し、放っておいた。

さて、よほどたってから、しもべたちの主人が帰って来て、彼らが託された人たちどのようにしているか尋ねた。 すると、五人託された者が来て、さらに五人を紹介して言った。『ご主人さま。私に五人を託してくださいましたが、ご覧ください。私はさらに五人の人と共にいきています。』 その主人は彼に言った。『よくやった。良い忠実なしもべだ。あなたは、少人数の人々に忠実だったから、私はあなたにより多くの人をを任せよう。主人の喜びをともに喜んでくれ。』

二人託された者も来て言った。『ご主人さま。私は二人託して頂きましたが、ご覧ください。さらに二人の人と共に生きています。』 その主人は彼に言った。『よくやった。良い忠実なしもべだ。少人数の人々に忠実だったから、私はあなたにより多くの人をを任せよう。主人の喜びをともに喜んでくれ。』

ところが、一人を託された者も来て、言った。『ご主人さま。あなたは、失敗をお赦しにならない厳しい方です。人の世話をして失敗し、傷つけてしまうのが恐ろしくて、 こわくなり、私は、あなたが託された一人と関わらないようにしてそのままにしておきました。さあどうぞ、この人をあなたに返します。』

ところが、主人は彼に答えて言った。『悪いなまけ者のしもべだ。私が失敗を赦さない厳しい者だと知っていたというのか。 だったら、おまえはその人の世話を他の人に頼むべきだった。そうすれば私は帰って来たときに、元気になったその人と、その人が世話をしたもう一人を得ることができたのだ。

だから、その人を彼から取り上げて、10人と共に生きている人に世話をさせなさい。』

だれでも持っている者は、与えられて豊かになり、持たない者は、持っているものまでも取り上げられるのです。役に立たぬしもべは、外の暗やみに追い出しなさい。そこで泣いて歯ぎしりするのです。

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