「マタイの福音書」連続講解説教

神様との秘密 その2

マタイの福音書第6章5節〜8節
岩本遠億牧師
2019年10月6日

また、祈るとき偽善者たちのようであってはいけません。彼らは人々に見えるように、会堂や大通りの角に立って祈るのが好きだからです。まことに、あなたがたに言います。彼らはすでに自分の報いを受けているのです。あなたが祈るときは、家の奥の自分の部屋に入りなさい。そして戸を閉めて、隠れたところにおられるあなたの父に祈りなさい。そうすれば、隠れたところで見ておられるあなたの父が、あなたに報いてくださいます。また、祈るとき、異邦人のように、同じことばをただ繰り返してはいけません。彼らは、ことば数が多いことで聞かれると思っているのです。ですから、彼らと同じようにしてはいけません。あなたがたの父は、あなたがたが求める前から、あなたがたに必要なものを知っておられるのです。マタイの福音書 6章5~8節

当時のイスラエル人の義務
=宗教的義務=義(善行)
1.施し
2.祈り
3.断食

主イエスご自身も施しを推奨し、祈り、断食を行われた。

何を問題となさったのか?

会堂や通りで、多くの人に見えるように祈る。
=人に認めてもらいたいという気持ち、自分で自分を褒めたい気持ちが入り込む

人に「立派だ」「素晴らしい」と言われる
自分で自分に「良くやった」と言う
→自分の報いを受けてしまっている
→天におられるあなたがたの父の報いを受けられない

第一神殿以前:
幕屋における礼拝と個人個人の祈り

第一神殿時代(紀元前10世紀〜紀元前6世紀)
人々は律法を軽視
預言者の言葉:律法を守らないイスラエルの民に対する警告が中心
各地で異教の神への礼拝が横行
→エルサレム神殿だけでの礼拝を推進

第二神殿時代(バビロン捕囚(紀元前6世紀)以降)
人々は律法を遵守
預言者の言葉:律法を守るとは如何なることかとの議論が中心
→パリサイ派が会堂や家庭での礼拝を推進

イエス時代の祈り

公の祈り:神殿、会堂
「シェマーの祈り」が特に重んじられた。
「聞け、イスラエルよ。主は私たちの神。主は唯一である。あなたは心を尽くし、いのちを尽くし、力を尽くして、あなたの神、主を愛しなさい。」申命記6:4

個人の祈り:
会堂での公の祈りに個人の祈りを加える。
街角に立って個人やグループの祈りを祈る。

問題:神様との個人的親密な関係の欠如

パリサイ派
    ・主流派 「神よ」「主よ」と呼びかける。
         自分の祈りによって奇跡が起こると信じていない。

    ・敬虔派(ハシディーム)「我が父」「天の父」と呼びかける。
         天の父が祈りに答えて奇跡を起こしてくれると信じている。

S・サフライ『キリスト教成立の背景としてのユダヤ教世界』

「天におられるあなたの父」
→イエスが敬虔派ハシディームの学者であったことは間違いがない。

「天の父との親密な関係」・・・祈りの前提
         ↓
     他者は関係ない
     他者は父と子の関係の中に立ち入れない
         ↓
     人が見ていないところで祈れ
     「自分の部屋」=納屋、物置

「神の御霊に導かれる人はみな、神の子どもです。あなたがたは、人を再び恐怖に陥れる、奴隷の霊を受けたのではなく、子とする御霊を受けたのです。この御霊によって、私たちは『アバ、父』と叫びます。」ローマ人への手紙 8章14~15節

     

「また、祈るとき、異邦人のように、同じことばをただ繰り返してはいけません。彼らは、ことば数が多いことで聞かれると思っているのです。
ですから、彼らと同じようにしてはいけません。あなたがたの父は、あなたがたが求める前から、あなたがたに必要なものを知っておられるのです。」

異邦人の祈り:無意味な音の連続をいくつも試し、有効な組み合わせから呪文を作る。

「あらゆる祈りと願いによって、どんなときにも御霊によって祈りなさい。そのために、目を覚ましていて、すべての聖徒のために、忍耐の限りを尽くして祈りなさい。」エペソ人への手紙 6章18節

「まことに、まことに、あなたがたに言います。わたしを信じる者は、わたしが行うわざを行い、さらに大きなわざを行います。わたしが父のもとに行くからです。またわたしは、あなたがたがわたしの名によって求めることは、何でもそれをしてあげます。父が子によって栄光をお受けになるためです。あなたがたが、わたしの名によって何かをわたしに求めるなら、わたしがそれをしてあげます。」    ヨハネの福音書 14章12~14節

・キリストの名代として祈る

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